鼻の粘膜は、鼻周囲のいろいろな方向からやってきた細い血管が、
さらに細い眼に見えないレベルの毛細血管となって糸だま状に吻合している、非常に血管に富んだ組織です。
特に、鼻の穴(鼻腔)を左右に分けている鼻中隔部分は、その中心に
ある軟骨と表面の薄い鼻粘膜の間に結合組織がわずかしかないために、
ちょっとしたことで血管が傷つきやすく、出血を起こした状態が
「鼻出血(鼻血)」です。
その中でも鼻中隔下部前方部分はキーゼルバッハ部位といって、鼻出血を起こしやすい箇所として有名です。鼻出血の原因の多くは、鼻をいじったり掻いたりすることにより鼻の粘膜が傷つき、鼻の毛細血管が破れることにより起こります。
鼻出血が繰り返しおこる背景には、アレルギー性鼻炎が関与している
可能性が高いと私は考えています。事実、そうした患者様では、アレルギー検査が陽性に出る場合が多くあります。
もちろん中には、腫瘍性のものが関係していたり、血管や血液系の障害が原因となったりすることもありますが、一般的にはまれといえます。
診断・検査方法
鼻の中をよく観察し、どこから出血しているのかを確認します。鼻の奥からの出血の場合、鼻腔用ファイバーを用いて出血部位を確認します。
出血量が多い場合には、血液検査により貧血や止血系あるいは肝機能の検査を行い、原因となった基礎疾患の有無を確認します。また、上に述べたように、アレルギーが背景として疑われる場合が多く、その場合には採血によりアレルギー検査を行います。
また、副鼻腔炎(ちくのう症)の合併が疑われる場合には、
鼻のレントゲンをお撮りして精査いたします。
当院の治療方針
最もよく見られる、アレルギーを背景とした繰り返す鼻出血の場合には、アレルギーを抑えるお薬と粘膜を改善するお薬を内服すると同時に、アレルギーを抑える点鼻薬を朝晩行っていただくことにより、
当院ではほとんどの場合劇的に改善されています。特に繰り返すお子様の鼻出血の治療に有効です。
成人や小学校高学年以上のお子様で、来院時に鼻出血が続いていた
場合には、視診やファイバーで詳しく観察し、出血点が確認できた
ときには、その部分を充分に麻酔したうえで、高周波装置にて電気
凝固処置し、再出血が起こらないようにします。
出血が続いているけれども、出血点が鼻の奥で電気凝固処置が困難な場合や、出血点の確認が困難な場合には、止血剤と炎症を抑える抗菌軟膏を塗布したガーゼを出血している側の鼻腔に挿入して、圧迫止血することもあります。
来院された時に出血が止まっていた場合でも、原因となった血管が
鼻粘膜上に露出していて再出血の可能性が高いと考えられるときには電気凝固処置をして再出血を防止します。
いずれの場合も、その後の再出血の頻度は極めて少ないという、良い治療成績を収めています。
